日本臓器移植ネットワークは12日、関東甲信越地方の病院で10代前半の少年が家族の承諾に基づき、脳死と判定されたと発表した。昨年7月に改正臓器移植法が全面施行され、15歳未満の脳死移植が認められており、国内で初めて子どもからの脳死移植が行われる見通しになった。心臓は大阪大医学部付属病院で10代の少年に移植される。他の臓器は各地の病院で20代から50代の患者に移植される。
移植ネットによると、少年は交通事故で頭部に重傷を負い、12日午前7時37分に法的脳死と判定された。家族は心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓(すいぞう)の提供を承諾、摘出手術は13日未明に始まる。
少年の意思は不明だが、親族に優先的に提供される移植ではないという。家族はこれまで臓器移植について話し合ったことはなかった。主治医が8日に脳死と判断、家族は移植ネットのコーディネーターから2回、計3時間半にわたって説明を受けた。
移植ネットによると、脳死判定を行った病院では、虐待防止委員会がマニュアルに従って少年に虐待がないことを確認したという。ただ、移植ネットは、具体的な確認方法について明らかにしなかった。また移植ネットは、家族の希望として、交通事故の具体的な状況や脳死判定施設の名前などの詳細を公表しなかった。
両親は移植ネットを通じ、コメントを発表。「息子は将来、世の役に立つ大きな仕事をしたいと言っていた。臓器提供があれば命をつなぐことができる人たちのために彼の身体を役立てることが、彼の願いに沿う」とした上で、「一部だけでも彼がどこかで生き続けると考えると、彼を失ったつらさ、悲しみから少し救われるような気がしています」としている。家族承諾による移植は39例目。