NPO日本移植支援協会

専門家の意見

星野 健 先生

山王メディカルセンター院長
医療法人財団順和会
銭谷 幹男 先生


2017年

 私は卒業以来、主に肝疾患の診療を40年継続しているので、多くの肝臓病の患者さんを拝見してきました、40年前は、肝硬変状態になると予後は不良で、治療薬もなく、無力でしたが、わが国に多い肝炎ウイルス感染による慢性肝疾患は治療の発達により、その予後は大きく改善していますし、C型肝炎は経口薬で治癒が得られる時代になっています。

 しかし、いまだ原因不明の自己免疫性肝疾患では、根本治療はなく、肝硬変にいたると全くお手上げの状態というのが現状です。移植医療はこうした病態に大きな光明となっています。事実、自己免疫性緩疾患の移植成績は良好です。 わが国では1997年に臓器移植法が制定されましたが適応となる脳死ドナーは非常に少なく移植医療は進みませんでした。2010年には改正臓器移植法が施行され、その後脳死移植症例は増加していますが、欧米に比し、まだまだ少ないことが問題です。脳死移植が少なく、移植が進まない結果として、生体移植が多く施行されています。

 しかし、移植適応にも大きな問題があります。私が主に拝見している難病である自己免疫性肝疾患のように緩徐に進行する病態の患者さんはなかなか脳死移植の順番に回らないという事実があります。多くの場合生体肝移植を選択することになるのですが、当事者におけるドナー選択には様々な葛藤があることは言うまでもありません。さらに、自己免疫性肝疾患である原発性硬化性胆管炎では、生体肝移植の成績が脳死肝移植に比較して明らかに悪いという成績がわが国から報告されています。この原因は明らかにはされていませんが、生体肝移植が治療の主体であるわが国においては大きな問題で、多くの問題を抱える海外での移植を選択せざるを得ないのが現状となっています。

 こうした移植に関わる問題の解決は、医師、医療者のみの努力には限界があり、多くの分野からのサポートが不可欠です。患者さんに適切な情報を提供する仕組みや、実情に即した相談を含めたサポートは移植に至る過程の重要な因子です。特に、海外での移植に当たっては、これらサポートは重要で、こうしたサポートが無い限り実際の移植に至ることは困難です。 こうした、サポート、さらには啓蒙を継続している日本移植会の活動の継続は大変重要で、心から敬意を表します。今後も発展していただくことを希望すると共に、わが国での移植医療のさらなる定着にも前進されることを祈念いたします。

Back