NPO日本移植支援協会

専門家の意見

瀬在 明 先生

日本大学医学部
外科学講座心臓
血管外科部門
(平成16年)
瀬在 明 先生

日本で臓器移植法が施行され8年が経過し、この間に行われた臓器提供は36件にとどまっています。一方では国内での移植をあきらめ、海外へ渡航する移植待機者、そして家族も少ないのが現状です。日本の移植医療を推進させるにはどうすべきか、本当に日本に移植医療は定着するのかなど、様々な問題を明らかにするために、平成16年7月3日に日本大学主催で、第1回臓器移植公開講座“ハートtoハート”を行い、そして今年も6月25日に第2回目を無事終了いたしました。本会は移植を知らない人に一人でも多く、移植医療を理解していただくことを最大の目的とし、開催しております。

私自身「ドイツ・バードユーンハウゼン心臓センター」に3年間留学し、日本からこられた患者さん、そしてご家族と一緒に異国での移植医療の大変さを痛感しました。何とか日本の移植医療を進めなければと実感し、南教授のご指示をうけながら、まず何かアクションを起こさなければならないと考え、私自身の力では多くのことをできる訳が有りませんので、まずできることをということで本会を開催しました。

現状のまま国内移植が進まず、渡航移植が増えれば、国際問題にもなりかせません。移植が日本に定着しない理由には宗教観の問題がよくあげられますが、それは事実ではないと考えます。最大の理由は国民が理解していないこと、つまり国が国民に十分説明していないことであると思います。海外でも日本同様ドナーカードというものはあります。

しかし実際にドナーカード所持者からの臓器提供は10%以下といわれています。ほとんどは家族の意志にまかされます。臓器提供を拒否する人の意思を尊重するのは当然として守られるべきであると考えますが、今後は欧米同様、意思表示が不明の場合、つまりドナーカードを持っていない場合は家族の判断に委ねるという法案改正を推進することにより、深刻なドナー不足は多少改善すると思われます。さらに教育現場での説明や家族内での話し合いなどを増やすことで、より多くのドナー確保になると考えます。

日本では,今まで移植関連の研究会、討論会などは数多く行われてきました。しかし、それらの参加者は移植医療を知っている人であり、そこでいかなる討論を行っても、何らドナー不足は解消されません。海外でもドナー不足は問題となっていますが、移植医療に賛同するスポーツ選手、芸能人らが中心となって、移植医療を理解してもらうためのキャンペーン活動を定期的に行っています。それにより徐々に浸透し、移植医療が1つの医療として歩んでいます。

移植が受けられず亡くなっていく患者さんが数多くいること、また明日、自分自身や家族が移植を必要となる可能性があること、つまり移植医療が身近な医療であり、体験者の話から“移植をするとこんなに元気になる”という現実を一人でも多くの人に理解していただくために今後も本会を継続し、キャンペーン活動を行っていきたいと考えています。 "助かる命を助けられる国”にできればと思います。

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