平成14年10月16日

厚生労働大臣   坂口 力 様

臓器移植推進連          

(社)全国腎臓病協議  会長 油井 清治

全国心臓病の子どもを守る  会長 斉藤 幸枝

胆道閉鎖症の子供を守る  代表   石丸雄次郎

日本移植者協議   会長 鈴木 正矩

日本肝臓病患者団体協議   会長 中島 小波

 ニューハートクラ  代表 都倉 邦明

心移植サポー   代表 布田 伸一

NPO日本移植支援協 理事長 栗原 文彦

 

臓器移植に関わる要

謹啓 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。常々、移植医療推進にご理解、ご協力を賜り誠にありがとうございます。

 臓器移植法が施行され、5年が経過しました。現法律施行後1年4ヶ月余り後に、脳死者からの臓器提供があり心臓、肝臓、腎臓、角膜の移植が行われ、ようやくわが国におきましても多臓器移植が行われるようになりました。しかしながらその後、脳死下での提供は、年間10例に達せず、心停止下での腎臓提供も年間約150例と低迷したままの状態が続いております。

 近年わが国では、糸球体腎炎から腎不全になる患者は減少していますが、糖尿病性腎炎による腎不全患者が増加しており、現在では22万人を超えております。また、欧米諸外国に比べC型肝炎のキャリアが著しく多く、肝臓病も糖尿病同様、国民病と呼ばれております。今後は腎臓、すい臓、肝臓の移植対象患者が著しく増加することが考えられ、今こそ国を挙げて移植医療を推進しなければならない状況になっております。

 脳死下での臓器移植が行われ、臓器移植という言葉は、広く国民に知られるようになりましたが、その内容については、正しく理解されているとは言い難く、世論調査では概ね6割の方が臓器提供に賛成されているにもかかわらず、心停止後も含め臓器を提供くださる方が極めて少ないのが現状でございます。

 また移植医療は、術後管理が成否を決定すると言っても過言ではありません。移植者を巡る環境も臓器や原疾患の違いによって、著しく相違しており、移植は受けたがその後の医療費負担が重く、生活が立ち行かないといった苦悩も起こっております。

 私達はこの現状を深く憂慮しており、わが国における移植医療推進のために、別紙のごとく要望いたしたく存じます。

「一つ一つの命を大切に」臓器移植推進連絡会はこの思いを実現するべく、努力いたして参ります。

貴職におかれましては、私達の要望にご理解を賜り、私たちの要望を速やかに実行していただきますよう、切にお願い申し上げる次第でございます。

 今後ともご理解、ご支援、ご協力のほど重ねてお願い申し上げます。          敬具        

臓器移植に関わる要

              幼い子どもたちが日本国内で臓器移植が受けられように、15歳未満でも臓器を提供できるよう臓器移植法を見直してください。

              現行法の定める通り、厚生労働省は脳死及び臓器移植について国民に理解を得られるよう、マスメディアをはじめ、あらゆる機会を通じ積極的かつ継続的に広報活動を行ってください。

地方自治体が積極的に移植啓発活動を行うよう強力に指導してください。

              全ての都道府県に専任の移植コーディネーターを置くよう、都道府県を指導してください。また移植コーディネーターの質を高めるよう指導してください。

              救命救急等の提供施設において、臓器提供可能な患者が発生した場合、家族に対し必ず提供意思の有無を確認することを制度化してください。

              より確実に臓器提供の意思を活かせるように、シールではなく健康保険証に提供意思を記入できる欄をもうけてください。

              全ての移植医療に健康保険を適用してください。

肝臓移植は、原疾患により保険適用が差別されています。成人への生体肝移植が急増している中、一日も早く、原疾患による差別をなくし、全ての移植医療に健康保険を適用してください。

              身体障害者福祉法を改正し、全ての移植者を内部障害者として認定してください。

肝臓移植者は、殆どの方が障害者として認定を受けていません。肝臓移植者についても、内部障害者として認定してください。

              心臓移植医療を一般の医療として定着させ、移植を必要とする心疾患患者の方々の命を守り、QOLを高める上から、ノバコア左室補助人工心臓システム(埋め込み型)の保険適用を早期に認可してください。

現在、心臓移植待機患者の多くが装着している補助人工心臓は体外式の空気駆動装置の為、感染症のリスクも高く、病院からの退院・在宅は望むべくもなく、患者に多くの苦悩を強いております。また、体外式の補助人工心臓は長期使用も困難です。わが国の心臓移植の現状を省みるに、提供者も少なく待機期間も長期化しております。待機期間中のQOLの向上が待機患者の方々から強く望まれており、一層この装置を必要としております。